今日は、神戸からこれを書いています。わたしは、知多市勤労文化会館で芸術監督を務めるかたわら、自分の演奏活動も続けています。以前、昨年度6月にもその理由を書きました。その時は、故郷のオーケストラである神戸市室内管弦楽団とはじめて共演する時だったのですが、実は今日も、4月22日の演奏会(第157回定期演奏会『田園を行く、春』)のリハーサルです。昨年の初共演のあと、今年は4月と12月の2回の定期演奏会で演奏します。指揮も、昨年同様音楽監督の鈴木秀美マエストロ(来月には名古屋フィルの定期演奏会でも登場するとのことです)。
わたしは米国時代から、正式なオーディションを受けて入団したオーケストラはボストン・バロックだけで、そのほかの多くはいわゆる「常トラ(頻繁に声をかけていただくエキストラ)」の立場などでのフリーランスの演奏活動を長くおこなってきましたが、どこの団体でも、初共演を済ませたあと、2度目以降に繰り返し呼んでいただける時は、初めての時以上にありがたく、嬉しく思います。やはり、現場で演奏を聴いていただいて、その上で引き続き呼んでいただけるというのが、自信にもつながるのです。それが、定期演奏会という、オーケストラにとって重要な演奏会ならばなおのこと。そういう意味では、正式なオーディションではなくても、毎回の演奏会で常にオーディションをされているようなものなのかもしれません。
なぜこんな話をしたかというと、今年開催分から知多市勤労文化会館の鑑賞事業を企画・実施させていただくようになり、初の公演(アーティストの環 vol.1 東京交響楽団 金管五重奏団)を今週末に控えているからです。知多市勤労文化会館を、「公演を鑑賞しに行くデスティネーションにしたい」という目標に向かっての第一歩。まずは今年度の公演から興味を持っていただける公演を観て、聴いてくださった方に、「また行きたい」と思っていただき、さらには「きんぶんでやる公演なら楽しめるはず!」という信頼を得て、将来は今までなら行かなかったような公演にも足を運んでいただき、新しい世界を広げていただける場となるような、そんな会館を目指したいと思っています。その意味では、今年の鑑賞公演は、みなさまに観ていただく、会館としてのオーディションに近いものだと感じるのです。
一人でも多くの方に、劇場の魔法にかかっていただきたい。そのためのラインアップを用意しています。4月23日は金管五重奏。そして、5月4日(木・祝)には「桂宮治独演会」を控えています。今のところ、両公演とも当日券を発売する予定です。良席もまだありますので、ぜひご来館いただきたいと思います。
5月のロビーコンサートは、FKB(管楽アンサンブル)。今回も、ソロも交えた素敵なプログラムをご用意いただいているようです。最近は知多市外での活動も増えている様子。いつもきんぶんを練習にご利用いただいているので、こちらまで誇らしい気持ちになりますね。
そして毎年人気の「スタインウェイ・マイ・コンサート」では、つつじホールで会館のスタインウェイ・ピアノを自由にお弾きいただけます。元々募集をおこなった2日間はすぐに埋まってしまいましたが、5月3日と5日を新たに開放し、まだ空きコマがありますので、お問い合せをお待ちしております。
そして5月14日(日)は、きんぶんキッズ・パラダイス2023で、一日(10:00〜16:00)きんぶんが子どものパラダイスになります!
ちたUMEブラスももうすぐ再開。こちらも楽しみです!
それでは、今月もみなさまのご来館をお待ちしております。
おまけ:昨年の『運命』の動画が神戸市室内管弦楽団のYouTubeページで公開されています。きんぶん芸監の普段と違う表情をお楽しみください。
知多市勤労文化会館
芸術監督/館長 樫野元昭